東本願寺の寺院、愛知県西尾市「隨縁寺(ずいえんじ)」のホームページ // zuienji blog //
このお経は「不思議な力」があると信じられ、かなり昔は呪術的な使い方をされていることが多かったので、呪術的行為を禁ずる浄土真宗のお寺ではあまり読みません。ただ現在は「摩訶不思議な力がある」、「超人的なパワーが得られる」とか「病気が治る」というような呪術的なことは、誰も言っていないと思います。
さて、お経そのものの内容は「空」のことが説かれており、至極真面目な内容になっています。その「空」理論を展開したのが「龍樹菩薩」です。親鸞の書かれた正信偈の中にも
龍樹大士出於世(りゅうじゅだいじしゅっとせ)
悉能墔破有無見(しつのうざいはうむけん)
と書いて、龍樹を讃(たた)えております。
ここで龍樹が「ことごとく、有りとか無し、イエスとかノー、などという二律背反という見方を打ち破った」と書いてあるのは、般若心経の「空即是色、色即是空」と説かれていると同じことです。
特にお経の最後は「ほとけの真言=マントラ」として有名です。特に、ここの部分に不思議な力があると言われてきました。
真言=マントラの訳 (超有名な中村元先生の訳)
ただ、マントラの部分の意味を考えると、そこは呪術的ではなく、むしろ修行者たちに対する「励ましの言葉」とか修行者たちの「決意の言葉」になっていることが分かります。
漢訳の読み方は
ギャーテェイ ギャーテェイ ハーラーギャーテェイ
ハラソーギャーテェイ ボージー ソワカ
サンスクリット版の読み方は
ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボディー スヴァーハー
意味は
往ける者よ 往ける者よ 彼岸に往ける者よ
彼岸に全(まった)く往ける者よ さとりあれ 幸(さち)あれ
個人的には好きなお経です。