人の命は甘美なものだ
瀬戸内寂聴さんについて
昨年11月、99歳で亡くなられました。彼女は小説家として有名でした。私の母(故人)もよく「寂聴さん、寂聴さん」と言っておりました。私自身、寂聴さんの生き方が世間の耳目を集めていたことぐらいは知っていましたが、私は彼女の小説を読んだことがありません。
ただ、新聞だったか、彼女の作品「釈迦」(2002年発表)が紹介されていましたので、早速年末に購入し読んでみました。
魅力的な女性が登場する「釈迦」
この小説には、最後の旅を続ける世尊(釈迦、仏陀)と弟子の阿難陀(アーナンダ)を軸に、仏陀とアーナンダを巡る人物との関わりが描かれています。
その関わりのある人物の中で目立つのが、魅力的な女性たちなのです。こんな魅力的な女性がウロウロしていたら、それこそ修行どころではないなと思いながら読んでいました。
その魅力的な女性たちと禁欲を守ろうとするアーナンダ、そしてそれを澄んだまなざしで見つめる仏陀。それら登場人物を使って、寂聴さん自身の人生観を語らせているようでした。
小説の最後、仏陀が死去し、最初の結集(けつじゅう←仏陀の教えを確認しあう集会)で
アーナンダが語ったのは
「私はこのように聞いた。世尊のお言葉のままである。
…この世は美しい
人の命は甘美なものだ…」
でした。
これは「寂聴さん自身の遺言」なのでしょうか。
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